新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

インフレの足音

5月10日号のEconomic focusです。

資源と食糧の高騰が引き金となるインフレの懸念について、新興経済諸国を先進国と比較する形でその違いをわかりやすく解説しています。いわく、資源や食糧への依存度は先進国のほうが低いので(このあたり、数次的な検証はありませんが、さもありなんとうなずいてしまいがちなロジック)、インフレ懸念は新興経済国のほうが強いこと、では通貨を切り上げるかと言えば、中国は過去3年に18%、ブラジルに至っては100%も対ドルレートを切り上げており、どこまで切り上げるのかという別の疑念が沸騰するであろうことを挙げて、新興経済国の基盤が先進国のそれと比べてまだまだ脆弱であることを示しています。またキャッシュが集まる湾岸諸国についても、インフレ懸念に対応するつもりなら金利は上げなければならないのに、対ドルレートの固定という通貨政策を堅持したいがために米国に追随して金利を下げており、余計にインフレ懸念をあおる結果になっている、との状況も紹介されています。

The Economistの処方箋は(1)通貨の自由化、(2)緊縮財政、(3)短期の物価統制を廃止するほかは、何もしない(市場に任せるということか)、とありますが、(3)の選択肢が最も選ばれやすいであろうこと、そしてインフレ圧力が昂進する中、責任者は最終的に通貨政策を変更することで急ブレーキを踏むだろう、と結論づけています。

BRICs、あるいは新しい言い方でG5(ロシアが抜けてメキシコと南アフリカが入ります)、もしくは更なる新興国に注目したNext 11なんていう呼ばれ方で注目を集めるこれら国々ですが、インフレの足音に神経質にならざるを得ない点では先進国よりさらにハンディを負っている、という見方もできるということですね。