新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

イマジネーションが意味するもの

9月6日号の真ん中辺ですが、今週は三カ月に一度の特集記事、Technology quarterlyが載っています。

携帯文化の発達(アフリカで行われているメール送金など)、化学物質センサーの発達とガス検知などセキュリティへの応用、排熱発電などの話はまさに今実用化されつつある技術の話ですね。ディーゼルエンジンの軽量化とヘリコプターや航空機への応用は確かにCO2排出削減につながるかもしれません。水冷コンピュータはかなり普及してきていますし顔認識技術などはかなり高度なものが使われています。ということで前半はあまりイマジネーションを掻き立てられる内容に乏しかったのですが、ネットを使った不特定多数の知恵を結集するというアイディアや、ロボットは機械型よりヒューマノイド型のほうが人間の側から見た親和性が高く、使い勝手が良いという話などはなんとなくアイディアを掻き立てられるような気がします。牧場で長い距離のフェンスを張る代わりに、牛に孫悟空の輪っかのようなものをはめて、敷地内から出ないようにするという技術の話は、面白いけど日本では使えないだろうなあと思ってしまいました。グーグルアースが考古学を変えた、という話もなるほど、と説得力を感じると同時にちょっとロマンを感じました。反対に、ビデオカメラは高画質一本槍の日本勢の対応とは異なる「どこでもカメラ」とでもよべる「フリップビデオ」の成功が物語るものは技術と言うより市場の話ではないかと。

「消える方法」でびっくりしたのは、ステルス戦闘機が市街地を飛ぶとき、携帯電話の電波がそこだけ穴のように消えることから逆に位置が特定できるという話。高いお金をかけて作った技術も、使う環境によってはまるで役立たずになるということですね。もっとも今のところ、携帯がたくさん使われているところでないかぎり大丈夫、ということのようですが。
http://www.economist.com/science/tq/displaystory.cfm?story_id=11999355

ミクロの決死圏という映画がリメークされるそうですが、微細技術を医療に応用するという話は現実にもどんどん進んでいるとのこと。このあたりは経済雑誌等でも目にすることの多い話題と思います。

意外にも応用が遅れていたコンピュータ用のタッチスクリーン。アップルもマイクロソフトも導入を視野に入れているようで、さまざまな方式があることも分かって面白かったのですが、マウス、キーボードとの組み合わせでなにがどうなるのか、という突っ込みが弱かった。想像力の限界でしょうか。
http://www.economist.com/science/tq/displaystory.cfm?story_id=11999181

あとは家庭における省エネの話。ま、このあたりは日本でもよく伝えられている所かと思います。

水素自動車開発の話とエコ活動家エイモリー・ロビンス氏の話でおしまい。

技術の話はどれも基本的におもしろいのですが、それは想像力を掻き立てる刺激になってくれるからだと思います。その意味からいえば、タッチスクリーンの話は一寸消化不良かな。だからどうなんだ、を放棄してしまっているような書き方はちょっといただけませんでした。