新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

がんと幹細胞

9月13日号の表紙に大きく書かれたタイトルが「がんと幹細胞」です。でもそんなに驚くような新発見があったのでしょうか。

さて、Leadersです。まずは幹細胞を狙い撃ちすることでがんを死滅させられるとの新しい治療法について。もっともこれは、ES細胞による再生医療を議論する中でもしばしば言われていた可能性ではあるので、考え方として驚くほど目新しい話ではないと思いますが。次にパキスタンの新大統領になった故ブット首相のご主人、ザルダリ氏について。汚職にまみれた過去を持つ同氏をそれでも大統領に祭り上げる、民衆と言う名のあらがいえない何かには絶望感を超えた虚無感を感じます。次いで相変わらず国政の方向が定まらないウクライナとEU、NATOの関係。そしてファニーメイフレディマック(に次いでいよいよリーマンブラザースがギブアップしましたが)を発端とする信用収縮に直面する金融界、イスラエルの期待の星、ジピ・リブニ外相についてなど。

Lettersで目立ったのはインドの核保有についてですが、ロシアは自分の核を勝手に実験できて、なぜインドは実験すら「国際社会」なるものに縛られなくてはならないのか、とのご意見はごもっとも。民主国家であるからといって、すなわち西側と価値観を共有するかと言えば、イランだって立派な民主国家なわけですし。

Briefingはエジプトについてで、その目覚ましい経済発展と、絶望的な民主化プロセスを特筆しています。これをギャップととるのか特徴と捉えるのかで、付き合い方もずいぶんと変わるのですが、自由主義経済の旗手たるThe Economistとしては死んでも単なる特徴だとは言えないわけで。いや、パキスタンの例もそうですが、単一の正義で議論できるほど世界は単純化されていないように思える事例のほうが多くなってきたような気がしています。と思っていたら、Asiaのトップ記事はいみじくもパキスタンでした。