新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ほころびの見え出す頃

3月28日号の前半のBriefingは、オバマ新政権に目立ち始めた数々の失敗についての分析です。日本のメディアは敢えて痛いところを突っついたりはしないようですが、そのあたりはさすがにThe Economistだけのことはあって、見逃すことなく疑義を呈してくれています。

まずは政権を担う重要閣僚ポストのいくつかの指名に失敗し、商務長官や保健長官の有力候補を失ったこと。そしてCIAの長官に諜報の経験を持たないレオン・パネッタ氏を起用したこと、G20の場を利用したイギリスのゴードン・ブラウン首相との協力関係構築の機会を失したこと、その他・その他について、オバマ大統領の対応ぶりをincompetent(無能)と大統領候補時代に批判した政策への逃げ込みによって毀損されていると切って捨てています。重要な問題について重箱の隅をつつくような指摘しかしない、問題の先送りは対応の常である。。。

一昨年の秋、アメリカ大統領選挙が本格化するごく初期のころですが、The Economist誌は他のメディアに先駆けてオバマ候補に注目すべき、と看破した経緯があります。それだけに期待感も高いのだとは思いますが、政権発足後100日を過ぎて、そろそろ批判の矛先が先鋭化してくる頃、と言うことかと思います。

で、とても興味深かったのは読者のコメントがかなり先鋭的にThe Economistの記事を批判するものが多かった(それに賛同する意見も多かった)ということですかね。確かに共和党寄りの方と思われる、記事に対する支持もあるのですが、圧倒的にオバマ大統領の現状を支持する、もしくは対応を見守るべき、この記事は最悪、などと言うトーンのものが目立ちました。

9.11のあと、グラウンド・ゼロに貼られたポスターにAmerica never runs!(アメリカは崩れ去らない)という手書きのメッセージがあったことを思い出します。小泉時代の日本とちょっと似てるかも。