新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ロシア、強さの裏には

6月3日号、LeadersのあとのBriefingは、原油価格の下落に見舞われたロシアの現状についての報告です。短い記事ながら、実に読み応えがあります。

ソビエト崩壊以降、市場経済や資本主義への衣替えを中途半端に終わらせたロシアが資源価格高騰で潤い、その中で「どれだけ体制につながっているかが勝負」という伝統的な価値観を生き残らせてしまい、なおかつ自身の制度基盤や通貨市場の育成が遅れたため、インフレを退治する有効な手段が統制以外にないという現状を作り出してしまったとの分析です。なんだかとても説得力があり、読んで思わず「なるほど」と言ってしまいました。

かつてヘドリック・スミスの書いた「ロシア人」を読んでいたからかもしれません。あるいはドストエフスキーの影響かもしれません。ロシアそのものには行ったことがないのですが、周辺国への出張が少なからずあり、民族的にロシア人の血を引く人との接点が増えたことも影響しているのかもしれません。いずれにせよ、ここにもまた西欧的もしくはアメリカ的資本主義+民主主義が通じにくい社会が存在していることを、具体例をもって見ておくためには非常に良い記事だと思いました。

それなのになんで、全仏オープン女子はロシア人対決だったんだろう、って必ずしもつながらない話なんですけどね。「日本人は計画を立てて、遅刻もせず、二日酔いにもならずに見事に仕事をこなす。ロシア人は立てた計画とは関係なしに飲んで、二日酔いで、遅刻して、最後の日に徹夜して、それでも立派に仕事をする。」先日カザフスタンで出会ったロシア系の男性がジョークとも自信ともつかない話をしてくれたことを思い出しました。