新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

悩める国

6月27日号のAsiaですが、インドに関する二つの記事が載ってます。

ひとつは西ベンガル州を中心として広がる「毛沢東主義者」と呼ばれる貧困層の反政府活動について。ネパールでも有名になりましたが、この地方の底辺の貧困層にとって本場・中国では歴史的遺産となりつつあるはずの「毛沢東思想」は今でも魅力的なものなのだということをこの事例は示しているように思います。

いま一つはインドが実効支配するカシミールをめぐる、イスラム系住民と政府の間で続く緊張について。こちらはインド政府による圧政に抗議するイスラム系住民のお話が取り上げられていますが、ふたつの話を読み比べるに、まさに内憂外患という感じですね。

これらの記事についての読者コメントを読んでいて思うのは、南アジアからの投稿と思われる意見は非常に強い論調のものが多い、ということです。自己の正当性や事態の困難さについて、忌憚なくかつつぶさに述べる投稿が目立ち、融和的または状況懐疑的な意見はあまり見られないように思います。紛争を、話し合いで解決するための基盤は非常に脆弱であるようだと、それらの意見を読んでいるとついつい感じてしまいます。争いの種を減らす手立ては見つかりそうなのに、本人たちがその気にならないとすると、ある意味で中東和平問題よりも難しい話なのかもしれません。