新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

払えない、払いたくない

6月27日号のFinance and Economicsに、アメリカの住宅ローンに関する興味深い調査結果が載っています。住宅価格の下落により、住宅価格の実勢がローン価値を大きく下回るようになったことで、「住宅を売却した以上の返済義務を負わない」という契約条項を利用して、住んでいる家を叩き売ってさっさとローンから自由になるという人が続出しているようなのですが、そのようにして借金を踏み倒すことについて、4人に一人は罪悪感を持たず、近隣の家にそのような退去者が居る人の82%は罪悪感を感じないこと、4/5が逆ザヤが5万ドルまでなら我慢して今の家に済み続け、借金を払い続けるというのに、それが10万ドルになると2/3まで落ちることなどが報告されています。

「戦略的破綻」とも呼ばれるこの方法については、逆ザヤ対策を政府に呼びかけるThe Economistの結論に対し、所詮資本主義経済の中のマネーゲームの結果であると言う点では、救済された大企業などといささかも変わらない、従って基本的には市場が甘んじて受けるべき変化である、政府が対策をなどとはとんでもない、というような意見に代表される自由主義経済重視型の意見への支持が多かったようです。

出血は、まだまだ止まらないようですね。でも個人にばかり思い負担を義務付ける日本のやり方と違って、個人と企業に同じ規範を用いようとする意見のほうが合理的ではないかと、ついついそんなふうにも思ってしまいます。おカネとか、経済の持つ本当の意味について、考えを深める良いチャンスではないかと思ってしまいました。