新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

中国の対アフリカ援助、その新しい形

7月4日号のMiddle East and Africaに、中国政府による対ジンバブエ支援の話が出ています。ロバート・ムガベによる圧政で悪名高いジンバブエで、中国からの借款が彼の政敵でもあるモーガン・ツヴァンギライ首相の勢力に供与されたとの報なのですが、The Economist流の読み解きは、ムガベの擁護者でもある中国が将来のリスクヘッジとばかりに反対勢力にもカネを使い出した、というトーンです。資源獲得のため、という枕詞は相変わらずで。

面白いのは読者のコメントで、中国人らしき方から「世界が中国の加工品を必要とする以上、中国が資源を求めて何が悪い、それは世界のためになることだ。」と言う意見や「中国人はわれわれに対する人種差別的な言動をしない。」というアフリカ人のコメントと思しき書き込みもありました。「世界」は確実に広がっており、The Economistが長年にわたって評価されてきた価値観の体系(自由貿易と民主主義)も、さらに広がろうとする中で、古典的・伝統的な西欧の視点だけではさばききれない事例が増えつつあることの証明であるように思えました。

ちなみに日本の援助は、頑迷固陋にも「要請主義」「政府間ベース」が基本です。すなわち、基本的に窓口は一本なわけで(かつて知恵と工夫を凝らして複数窓口への対応を試みた事例もあったようですが)、普通にやっていたのでは中国のマネなど全くおぼつかない状態です。長らく「トップドナー」の位置に安住する中で、革新性も柔軟性も軽視される日々が続き、いまや実効性において中国の後塵を拝するようにすらなりつつあることに、危機感をあらわにする当局者は果たして何人いるのでしょうか。この記事を読んで、ちょっとでも額に青筋を立ててくれる政策当局者が一人でもいる事を祈りつつ。