新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

期待値

8月1日号です。

Leadersのトップは、オバマ大統領の支持率低下と国民保険および地球温暖化対策への政策的傾倒の関係について。伝統的な民主党の政策に、無党派層が疑問符を突きつけたのでは、との分析です。この流れに、やがてアフガンも連なるのでしょうか。第二次長州征伐をこなしきれずに江戸幕府は瓦解しましたが、南ベトナムで敗れようともアメリカは栄え続けてきたわけで。経済と言う下支えを失ってのちにアフガンで敗退するようなことがあれば、果たしてアメリカは世界のリーダーとしてやって行けるのでしょうか?

つぎに中東和平問題とアメリカについてですが、こちらもやはり出口は見えません。交渉の出発点に立ち返り、イスラエルの首相を引き出したところまでは良かったとして、アメリカはそこから何をどうできるというのか。

そしてわが日本の総選挙について。シニカルなほめコトバは日本にもようやく到来する二大政党制への期待値の表れだとしたら、ずいぶんと低い点がついたものです。おそらくは、自らの沽券に関わると感じてかどうか知りませんが、見聞きする範囲で「二大政党制の実現」をプラスの評価として真正面から取り上げる日本のメディアは、今のところ皆無ではないかと思われます。でも歴史は今年の選挙をその変局点として整理するかもしれませんよね。そしたらテストに出るのは小沢一郎(小選挙区制を実現)かもしれません。読者コメントも低調です。

つぎに、住宅サブプライムローン問題に加えて、商用ビル向け金融でもこげつきが不安視されてきたこと、今回の主役はアメリカの地方経済を支える地場の小規模な銀行であること、それらがおかしくなると「小さすぎて救えない」ことによる倒産から地方経済の危機へとつながりかねないことなどが報じられています。

もう一つは拷問の是非について。ブッシュ前政権がかかえたグアンタナモ、アブグレイブ問題に関する議論の中でチェイニー副大統領は「テロリストへの拷問は、民主主義を擁護するために必要」と是認していたことなど、おそらく日本のメディアではほとんど報じられなかったのではないかと思うのですが、アメリカと言えども基本的には逆風なわけで。それが諜報機関の能力を弱体化させることにつながっている、というのが記事の趣旨です。日本は諜報能力について長いこと心配したことがなく、もっというと国民レベルで心配したことは国家開闢以来一度もないという国なので、この議論にピンと来ない人もあるいは多いかもしれませんが、アルカイダのような、国ではない世界的なネットワークとの戦いに神経をすり減らす人々からすれば、ずいぶんと頭の痛い課題だろうと思います。

最後はばら撒きと批判されても政策的支出を減らさず、結果としてヨーロッパ経済の足を引っ張ることを懸念されているスペインの現政権について。読んでいて民主党マニフェストを思い出してしまいましたが、どこも世情は似たようなもの?