新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

新興国の強み:それは金融

5月15日号のLeadersから。

今週号の特集記事に関するLeaderなのですが、BRICsに代表される新興国の「強み」としての金融業について。これまで先進的な金融産業はといえばアメリカ、もしくはロンドンのシティーに代表される米欧の専売特許のように言われてきたものですが、The Economistはこの考えに真っ向から異を唱えます。すなわち、「しっかりと規制され」、「古典的な考えとたくさんの支店、低い人件費、高い自己資本比率」によって、増大する旺盛な資金需要に応えている、という新興国の銀行のほうが、先進的といわれる金融ノウハウをこねくり回して外国からの借金をし、トップをはじめとする専門職にバカ高い給料を払わなければいけない米欧の金融機関に比べれば随分と強いであろう、という話なのですが、確かに的を得ているところはあると思います。そしてそれは、バブル経済前夜にアメリカで不動産を買い漁るなどの、今から考えれば愚挙に出た日本の金融機関がその当時に得た評価とあまり変わらないような気もします。

規制は、アメリカが、もしくは日本もそうであったように、政治によっていくらでも変わります。人件費はあっという間に高騰し(日本ではさすがにそうでもありませんでしたけど)、経済の加速に比例して不良債権は確実に増えるわけで(まさに日本は好例)、「今」強みだからと言って今後もこれら新興国の金融機関が強みである保証はどこにもありません。経済のアンカーとして世論に動揺せず長期にわたってしっかりした仕事をするのか、それともバスに乗り遅れまいとして率先してリスクを取るような攻めの姿勢に転じるのか、少しじっくりと眺めて見たいと思います。