新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

水、水、水・・・

5月22日号の特集記事です。

淡水、しかも飲用に供することのできる水資源の少なさについて、目を引くビジュアル資料がありますが、基本は新興国の経済発展とともにただでさえ希少な水資源が危機に瀕している、というメッセージです。さらに突き詰めると農業が最もクリティカルな淡水需要者であること、対策としての技術はあるが、どれも高価であることなどがわかります。とはいえ、農業については現状の農法を工夫したり、遺伝子操作等の技術を使えばある程度現実的な対策が打てることもまた事実のようです。

日本の技術で水分野においてすぐれているものはと言えば、塩水淡水化技術の柱である逆浸透膜でしょうか。ただこの分野も安価な韓国製品などが市場を席巻しつつあるそうで、そのためかThe Economistの記事には日本のニの字も出てきませんでした(ちなみに、上下水道システムの海外展開について役所が旗振り役をしていますが、オペレーション技術で日本に目立った競争力を持つものはほとんどないと認識しています)。

実は日本は2003年に「第三回世界水フォーラム」をホストした経験があり、今回の特集記事が語るような知見はかなり広く共有されているはずなのですが、上に書いた役所の錯誤的ともいえる旗振り以外、目立った動きにはつながっていないように見えます。うーん。。。

幸か不幸か、日本の場合国内で需給バランスがとれていること、そして海外から輸入される高級ミネラルウォーターは円滑に市場流通していることなど、危機の深刻さは伝わってきにくいのですが、出来ればもうちょっと感性を高めておきたい話、ではないかと思います。