新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ユニクロの成功

6月26日号のBusinessには、ユニクロを運営するファストリテイリング社の成功と、再加速されるその海外戦略についての記事が出ていました。曰く、Tシャツや靴下など、ベーシックといわれる分野で「安いのに、チープに見えない」品質と、色やサイズなどの圧倒的な品揃えで成功したこと、曰く、現在54店舗を抱える中国で1000店のネットワークを目指していること、曰く、現在10%しかない海外売上比率を2015年までに国内売上より多くするのが目標であることなど。

GAPやH&M、Zaraなど先行大手に比べると、まだまだ売上も利益も小さいのですが、中心となる品揃えがベーシックであることから、地域的な広がりの可能性は大きいだろうとの考えもうなずけるところがあります。

ただ、柳井社長・会長を中心とする意思決定システムが中央集権であり、そのため幾人もの後継者候補が会社を去ったことにも触れられていて、決定的な弱みではないにせよ若干の懸念材料として見られている模様ではあります。

一読者として、というより一診断士としてですが、同社の強みでもあり一歩間違うと混乱の元にもなりうるのは、これまで朝令暮改を全く問題にせずにやってきたこと、来られたことにあるように見ています。かつて英国などへの進出を中途半端なまま終わらせたこと、外国人デザイナー雇用による「脱・ユニクロデザイン」を志向したのに、結局収益の中心はヒートテックを中心としたベーシックの技術革新に依存したこと、経営の一線を退いたはずの柳井氏が、あっさり返り咲いて以前と変わらないかそれ以上のリーダーシップを発揮していることなど。見ようによっては柔軟性であり、先進性にも繋がる現象ですが、これだけ大きくなった同社がそれまでと逆方向に舵を切るのは内部的には大変なエネルギーを必要とするものではないかと思います。