新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

防衛産業とコスト

8月28日号のBriefingは、戦闘機開発を例に防衛産業とそれにかかるコストについて興味深い論評をしています。
日本政府が次期主力戦闘機として粘り強くアメリカに要請をしつづけたものの、結局あきらめざるをえなかったF22について、本家アメリカでも高すぎるコストが影響してF35にその地位を明け渡さざるを得なくなったのだそうです。
これまで戦闘機開発の成否を決めるのは「最後10%の能力を上げるためにコストを三分の一増やし、問題を三分の二も多く発生させる」ことを繰り返してきた開発の歴史(アウグスチンの法則)が物語る通り、おカネでありました。電装品が高価な設備の大半を占めるようになっても、民生品と違って量産効果のあまり働かない戦闘機では級数的なコスト削減(ムーアの法則)は働かないそうで、セキュリティの問題もあり開発の都度一から作り直しているため大変高価になること、21世紀の世の中になっても有人戦闘機の必要性は下がるどころか、無人機の操縦にかかる設備や人件費は有人機のそれを凌駕するうえに、通信障害でもおきようものならたちまち役に立たなくなるため、依然として高い必要性があること、そうなるとどうしても有人機に頼らざるを得ないこと、などが主な理由だったようです。無人機にすれば、パイロットの防御部分は確かに節約できると思うのですが、それが主力になるという時代はまだまだ遠いということでしょうね。