新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

集団思考からの脱却

Web版のThe Economistは9月14日付の記事として、日本の民主党代表選挙の結果についての報告と簡単な分析を載せています。このうち、事実関係については他のメディアと大きく変わるところはないのですが、小沢氏の敗因として挙げているのが国民目線で彼を見たときのカネについての汚れたイメージと説明責任の不足、すなわち民主党を選ぶことで国民が決別を選択したはずの、旧態依然たる自民党型政治の体現者であった、という一点だということです。

日本のメディアの場合、短期間で首相を変えるのが良くないという理由を挙げるほうがむしろ多いように思うのですが、The Economistの読み解きは、国民の政治的信条の変化という切り口で日本の現在とそして今後を見ようとしているようです。

これまで20年に渡って日本を低迷から解き放たなかった集団的思考から、日本は脱却しなくてはいけない、そのためには更に個の力を強化する必要があるというThe Economistの主張にはある程度の説得力を感じますが、でもだからといって菅政権の目指すところがそこにある、とまでは必ずしも言えないところにもどかしさを感じます。

大差で敗れたことは小沢氏をして離党→新党結成を難しくさせた、との見方は当たっているように思います。おそらく小沢氏としては「難局を乗り切るには自らの政治力しかない、しかしながら民意はそれを是認しなかった」という思いを消化するまでに、ある程度の時間を必要とするのではないでしょうか。

The Economistが祝福する程度には意義のある選挙だったと思います。かつて自民党が密室談合で次の総理大臣を決めていたころとは雲泥の差で、テレビも動員して政策議論をしたことは、民主党全体のイメージを大きく改善したように思います。大きく言えば集団思考からの脱却に向けて、小さく言えばしっかりしたリーダーシップと開かれた議論に向けて、菅総理の今後を注視したいと思います。