新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

新しい国が出来るとき

2010年もあと3日弱となりました。
今日はウェブ版から、「2011年の世界」に掲載された記事「193番目の国」について。日本ではあまり注目されていませんが、来年早々にもアフリカのスーダンで南部の州が「サウス・スーダン」として独立するかどうかの住民投票が実施されます。そして、おそらくは筆舌に尽くしがたい混乱の中、独立は支持されることになり、人口約900万人、石油が取れるにもかかわらず人口の9割以上が貧困層という新しい国(国連加盟国で数えるなら193番目)が誕生することになります。

以前から、アラブ・イスラム系の北部と黒人・キリスト教系の南部は今一つ折り合いが悪く、しばらく内戦に近い状態だったこともありました。しかし大筋では国境近くに唯一の外貨収入源ともいえる大規模油田を持ち、その産出は南部、パイプラインは北部を通過するという絶妙な地理的条件に、深刻な紛争にならずに済んでいたという一面を持つ国でもあります。おそらくは独立後も北部と南部(違う国になるわけですが)はこの石油資源を巡って奇妙な妥協の中で生きて行くのだろうというのがThe Economistの見方です。むしろそれよりも貧困の中で船出するサウス・スーダン国内の不安定要因のほうがよっぽど懸念される、という状況のようで。

偶然仕事でスーダンの人約2名と別の時期に働くことがありました。二人とも黒人でイスラム教徒でした。二人とも北部に家があり、海外で仕事をしていました。優秀な人でしたが、それ以上に体力的にタフで年に似合わぬ馬力に感心した記憶があります。貧困と混乱の中、新しい国がなんとか落ち着いて国づくりをスタートできるよう祈念いたします。