新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

抗がん剤研究の最前線

6月11日号のScience and technologyには、抗がん剤研究に関する興味深い記事があります。分子生物学の考え方を取り入れることが難しかった時代の名残だと思うのですが、いまだに遺伝子適合性を勘案するよりも発症部位に基づいた研究がなされていること、また臨床試験の被験者が多くの場合末期に近いため、安全性確認試験より先のデータが得にくいことなど、新薬開発について不要に時間を要するプロセスがいまだに続けられていることが判ります。

記事で注目されている新しい研究は、がん細胞のDNAに注目することで臨床試験でしか行われなかった効果測定を、少量のサンプルを使うことで可能にするというもので、プロセスそのものが大幅に簡略化されることが期待できそうです。同じ考え方が、がん以外の病気にも使える可能性もあるのではと思われるあたり、今後が楽しみな話です。