新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ユーロとその未来

ネットでは9月17日号が流れています。Leadersのトップは、一層深刻さを増すユーロ危機について。ギリシャ離脱の危険性や、デフォルトに端を発するドミノ現象などへの危機感は、ある意味当然ですが大変高い状況になっています。

The Economistが提案する方策は4つ。まず危機に陥っている国の特定とその深刻さを明らかにすること、次に無制限の信用供与を保証すること、さらに域内の銀行に対する流動性の担保を行い、最後に経済政策を財政バランス志向から成長志向へきりかえること、というのですが、単一通貨制度を解体するコストのほうがどう見ても高いのだからさしあたりユーロは堅持されるべき、というその議論(費用便益比較)も、読者は必ずしも賛成していないことが数多くのコメントから見てとれます。

東西ドイツの統合という先行実験においても、貧しかった東ドイツに多額の信用供与がなされ、今に至るまでドイツはその重荷を背負っているとの指摘もあります。ある意味で結果論ですが、この意見は「政治的統一は果たしても経済的統合を急ぐべきではなかった」という趣旨だと理解しますが、そうだとすると経済格差のある国の通貨を無理して統一し続けるよりは、一度あるべき姿に戻したほうがすっきりする、という意見が(費用便益計算よりも)説得力を持つということでしょうか。

欧州が政治統合へと進む夢を、はかなくも散らせかねない傷ついたユーロは、再度解体される方向へと向かうのか、それとも必死の努力により体制は堅持されるのか、ここしばらくの動向が注目されるところです。