新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

おかめはちもく

10月29日号のSchumpeterは、ウォール街で続くデモ(Occupy Wall Street movementというのですが、長いのでOWSと呼びます)と、大手銀行経営者の対応についての論評です。

OWSが起きたかどうかに関わらず、大手金融機関の経営者は政府による救済策について表立った感謝もしていなければ、自らの経営ミスについて謝罪もしていない、という指摘は(日本でも似たようなものでしたが)当たってても、当事者の耳にはなかなか届かない性質のメッセージだろうと思います。おそらくそれは彼らが「世間」をstakeholderだと思っていないから、だろうと思われるのですが、その根底には金融ビジネスにはつきものの秘密主義、情報管理主義が根深く存在しているものと思われます。

The Economistは、問題の解決策を語るとき、よく政治の事例を引き合いに出します。今回は、イラク戦争のときのトニー・ブレア政権が不利な情報でも積極的に開示して、最後には有権者の支持を勝ち取ったときのことが語られています。金融と政治にはだいぶ距離があるようにも思われますが、だからこその「岡目八目」もありうるわけで、いいかげんそろそろOWSを収束させないと、G20を控えてオバマだけの責任を喧伝していれば事足りる時期は過ぎたように思います。いや、これもまた「岡目八目」の一つですかね。