新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

エンピツ舐め舐め

4月14日号をネットでチェックしています。

Leadersは、オバマ対ロムニーの構図がはっきりしてきた米大統領選挙について、スコットランド独立問題について、専門書出版業について、輸出主導型経済で欧州の優等生であり続けるドイツ経済について、経済政策の岐路に立つチリについて、そして制度設計の見直しを迫られるロンドン銀行間公示レートLIBORについて、というラインナップです。

Leaders以外の記事を見てみると、日本についてはBanyanが軍事支出のことを書き、BusinessがSonyについて書いているようなので、こちらも注目ですかね。

さて、米大統領選挙についてはUnited Statesでも様々な切り口で取り上げられているのですが、Leadersが語る「増税できない共和党と歳出削減できない民主党」という読みときは、なるほど分かりやすい話です。日本も、潜在的には良く似てると思うのですが、ややこしいのは「増税できない小沢・亀井、歳出削減できない野田・谷垣」みたいな、政党の括りと対立構図が全く一致していないことのように見えます。特にアメリカに関するThe Economistの読みときに比べると、その差は歴然ですね。

おもしろかったのは、LIBORに関する記事で暴露されたその決定方法で、言ってみれば世論調査にも似たアンケートで異常値を取り除いた後、平均値を算出すると言う手法が採られていることと、その手法についてThe Economistは意図的な操作の可能性を否定せず、ゆえに適切なシステムではないという判断をしていることですね。他に合理的かつ妥当な決定方法はあるのか?決定委員会と検証システムの創設は一つの案かもしれませんが、The Economistとしては具体的な提案について「これだ!」というほどのものは提示していません。悪く言えば、銀行家たちが鉛筆舐めて決めている(?)ような方法はまずいんじゃないの、という問題の指摘にとどまっていますが、逆に言えば「それでも何とかなってるじゃないか」という水準の問題であるとも言えるわけで。基本は、判断を市場に任せるということだとすれば、プロセスはどうあれ結果においてこれまで信用を保ち続けてきたLIBORに、これからもその役割を果たしてゆくことを、さしあたりとりあえず市場は期待するのだろうと思います。で、万が一おかしくなれば(短期的混乱はあるでしょうけれど)それに代わる役割を果たす指標が使われるようになる、ということなのかなと、割合淡々と読んでしまいましたけどね私なんか。