新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ロンドンの、これまでとそしてこれから

6月30日号のLeadersトップと特集記事は、オリンピックが近いと言うこともあってか、ロンドンを取り上げています。The Economistはイギリスの週刊誌ということもあって、さすがに力の入り方が違う感じもします。曰く、ニューヨークに譲る部分はあっても、世界最高の国際都市なのだ、とか。知的水準または収入の高い移民がその成長力を支え、地政学的にヨーロッパの西・アメリカの東にある優位を生かして世界の金融センターとして確固たる地位を築き上げてきた、ということだそうです。ニューヨークへの移民がアメリカだけを見ているのに対して、ロンドンへの移民は世界を見ている、ニューヨークへの移民は労働者も含まれるのに対してロンドンへの移民は知的水準の高い人が中心である、などなど。

この先どんな問題があるのか、と言う分析については、新興国の台頭もあって、インフラなどの再投資に回せる富が先細る事、なによりイギリス人が外国からの移民に対してあまり寛容ではないこと(国として移民を歓迎している訳ではない)など、これまでのロンドンを支えてきた強みが必ずしも続かないのでは、という懸念を挙げています。

国全体は長期低落傾向にある中、都市として世界の中心に輝き続けたロンドンのありようは、日本における東京を考える上で大変参考になるモデルではないかと思います。東京もまた、オリンピックを招致したいという意向のようですが、世界の中で確固たる役割を果たしてゆけるロンドンのような都市になることを、そしてそのために犠牲を払うことを、東京はすでに意思決定出来ているのかと言えば、そのあたりはさてどうだか、と言わざるを得ないのが現状かなと見ております。

オリンピックを良い機会として、ちょっとそのあたりに思いをはせてみるのも悪くないかもしれません。