新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

短期的視点と長期的視点

11月24日号のSchumpeterは、企業評価の視点として短期の株価を偏重する考え方に疑問を呈しつつ、長期的視点をどのようにバランスさせたらよいかについての興味深い議論を載せています。一時期、デイトレーダーなる株の短期売買を生業とする職業(?)が注目されたこともありましたが、たとえばピーター・ドラッガーは「短期的収益の上に短期的な成果を積み重ねたからと言って、それが長期的な成果にはならない」という名言を残しているのだそうで。

企業は、もっといえば企業経営者は、確かに収益を向上させ株価を高く維持する責務を負っていることはまちがいないのですが、その実(特に日本の成功している企業に於いては)社員のモチベーションを上げ、能力開発をし、顧客満足を追求し、取引先や地元社会への還元を忘れず、結果として株主に報いるというような考え方を取っているところが目立つように思います(もっとも、成功している会社だからこそそのような宣伝ができると言う側面もあろうかと思いますが)。

それらの対応を表す管理指標はといえば、いささか古びた考え方になるかもしれませんが、「付加価値分析」であろうと思うのです。売上高から直接原価と投資(減価償却でも可)をさっぴいた、残りの数字ですが、それが何からできているのか、割り算の分子はたとえば教育投資や福利厚生が付加価値に占める割合だったり、研究開発だったり環境対策だったりするわけですが、付加価値を分母にとって、それを分析してやれば、長期的視点をどのように考えるか、数字化した議論が可能になるのではないかと考えます。何も労働分配率だけが、付加価値分析の効用ではありません。

ということで、久しぶりに読者コメントをアップしたのですが、びっくりしたのはそうすると自動的にFacebookTwitter、そしてLinkedinなどのサイトにコメントが表示されるようになっているんですね。大手メディアとSNSの相互乗り入れが、ネットの世界ではどんどん進んでいるようで、個人的にはむしろそちらのほうに感心させられた次第でした。