新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

枯れる海

2月9日号のScience and technologyには、地球温暖化に伴う気候変動の影響が北極海の水産にどのような変化をもたらすかについて、非常に深刻な予測がなされているとの記事があります。長い記事の内容を一言で言ってしまえば、海水の酸性化が生物の骨格・外殻(貝殻など)の形成を阻害したり、海水の対流が起きなくなるため海水が層別化して栄養分の拡散を阻害するなどの変化が起き、北極海は豊かな海ではなくなるだろう、というお話です。

これに限らず、気候変動のお話はどちらかというと悪い方向へと変化するよという話が多いのですが(だからどうにかしなくてはいけない、と言う結論になることが多い)、人間社会では「ある程度予測がついていること」への対応は、必ずしも簡単ではありません。

今勉強しないとあとで困るよ、と言われて高校生が皆一生懸命勉強していれば、学校教育の問題はぐっと簡単になったでしょうし、多くの災害も被害を少なくできていたかもしれません。

気候変動への対応には、緩和といってCO2削減などの対策を取る考え方と、適応といって「あったまってしまうものはある程度仕方ないので、あったまった後のことを考えよう」という考え方の二つがあるそうです。緩和策については議論を尽くすべきとして、適応策として枯れて行く海への対応をどのように考えるか、なってみないと判らない話が大きいのかもしれませんが、なんともせつない未来予想図です。