新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

失業と就職氷河期の弧

いつだったか忘れましたが、「平和と繁栄の弧」というフレーズが、たしか日米の協力を推進するための合言葉として喧伝されたことがあったような。

4月27日号のLeadersには、それと違ってヨーロッパから中東・アフリカへと続く地域で深刻化する若者の失業についての記事が出ていまして、それを「失業の弧」と言い表しています。大学や大学院を出ても仕事に就けない、という話も出ていまして、日本風に言えば就職氷河期、とも言えるのかなと。

対応事例として、たとえば北欧諸国が導入している離職者への手厚い保護と職業訓練、といったような選択肢は、そもそもがあまり豊かとはいえないこの地域に適用するのは無理があるということのようで。

であればどうするのか?というとやはり職業教育を中心とした人材育成であろうという結論になるわけですね。The Economistはさらりと流していますが、実はここは重要なポイントで、企業がどこまで深く教育に関与できるか、また教育側がそれを許すか、というあたりです。

つい最近、アフリカの大学教授と議論する機会がありまして、この人は京大で建築の学位を取った方なのですが、在学中、ゼネコン各社が研究室に深く入り込んでいる様子に感心させられた、と言っていました。研究室で従事する研究の内容でほぼ就職先が決まる、教授がそれをうまく交通整理するシステムは、職業教育の効果・効率を究極まで高め、企業側の人材ニーズに直接的に応えるもの、という手放しの褒めようでした。

日本にいると、なんだかこういうシステムが日本の特殊性や閉鎖性を象徴するものであるかのようなイメージを持ってしまいがちですが、成長と発展を遂げることに最適化したシステムなのだとすると、成長と発展を期待される国や地域に、もう少し積極的な事例紹介をしても良いのではないのかな、と思いましたので、紹介させていただきます。