新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

宗教的に虐げられるということ

7月6日号のAsiaには、新疆ウィグル自治区におけるイスラム系住民と地元政府との緊張に関する記事が載っています。すでに数十人を超す死者が出ており、政府は一層の規制強化を進めるのだとか。

政府側からすれば、テロ対策なわけですが、強化策にはそれまで法的には禁止されていても運用の緩かった女性の黒衣や老人の長いひげなども厳しい規制の対象にされているのだとか。反対に、イスラム的な外見をしないことを条件に各種の生活支援や補助金などの制度もあるそうなのですが、あまり使われていないのだそうで。

地元タクシー会社の運転手は、あきらかにそれとわかるイスラム教の格好をした人を乗せると、一度目は警告で、二度目はクビになると言われているそうです。

なんというか、扱われるほうからすれば「イスラムは二流市民」的な扱い以外の何物でもない話ではないかと。このあたりに「なぜキリスト教は政教分離が出来たのに、イスラム教は出来なかったのか」を説明するロジックが隠れていそうな気がしています。

彼らにしたところで、イスラム教徒である前に、人種的マイノリティである前に、一個の人間なわけですから、その尊厳や存在に対する敬意を踏みにじられることに、おそらくはもっとも強い怒りを覚えるのではないかと思います。

アルカイダが、アメリカの次にここを標的にすることだって、あながち荒唐無稽な話とは言えないのではないかと。