新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

GDPのそもそも

8月3日号のFree exchangeは、マクロ経済の指標としてよく使われるGDPについて、ちっとしたトリビアな話を紹介してくれています。そもそも、GDPがマクロ経済を代表する指標として使われるようになったのは、1929年に発生した大恐慌が発端だそうで、それまで政治家たちは株価や鉱工業生産高、あるいは輸送に関するデータなどを使って経済を見ていたのだそうです。

とはいえ、GDPも盤石な指標というわけではなく、そもそも何をどこまで取り入れるのかについては時代によって考え方が変化すべき、という議論が主流のようです。事実、今週になってアメリカは、特許など知的資産形成のための行動(オフィスで考えたり、本を読んだりすることも含む)を、「資産形成につながる投資」としてGDPに換算することにしたのだとか。

いままでこれが換算されていなかった、というほうが不思議なくらいですが、でもたとえば主婦の家事労働は相変わらずGDPに計算されていないのだそうで。もしも仮にこれを加算して考えるとすると、国の借金も少し軽く見えたりするのかもしれませんね。

時代とともに変わる「GDP」ですが、さしあたり代わるものがないので、マクロ経済を語るにはなくてはならない数字、とされているようです。ただ中身が将来的にも変化するものだとすると、科学的な論理立ての根拠として使う場合にはそこんとこ要注意、ということだと思います。