新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

中国の環境問題

8月10日号の、Leadersに続いてBriefingで詳報されている中国の環境問題について。確かに汚染は深刻ですが、対策も急激に進みつつあるのだという話。たとえば各大都市における二酸化硫黄の排出量はすでに日本の70年代の水準以下まで急激に減少しているとか、効率は低いながら風力発電機の数だけでいえばアメリカと並んで世界最大であるとか。

急激な経済発展はまた、過去に先進諸国が繰り返したモデルのようにその後の環境対策をも伴うものである、しかも先進諸国のそれより急ピッチで、というのが中国の言い分のようです。が、しかし。

たとえば慢性的な水不足はシェールガスの開発を阻んでいるのだそうですし、また各都市の間があまりに離れていることから、大気汚染や水質汚濁の問題は各都市のローカルな現象という範囲を出ることなく国家的な危機意識につながりにくいことなど、はたして急ピッチな環境対策がどこまで持続性を持つものとなるのか、今一つ見えにくいところもあるわけで。The Economistが、中国に対してはめったに寄せない応援歌とともにくぎを刺しているのは、中央政府の責任について、でありまして。

末端まで政策が届きにくい行政の構造から、これからもかの国のいたるところで環境破壊は続くことと思います。でもそれを克服できるのは中国自身でしかないわけで、そのあたりに関する意識の醸成こそが、中国自身のみならず、国際社会においても今一度しっかりと認識されるべき課題ということかなと思います。