新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

生ける負の政治的遺産

9月21日号のAsiaには、1971年に起こった独立戦争当時の戦争犯罪にいまだ結論を出せずにいるバングラデシュと、それを巡り苦悩する現政権についての記事が出ています。さきごろ最高裁で死刑が確定したジャマア・イスラミ(バングラデシュのイスラム教政党)のアブドル・カダル・モラー氏について、大衆は死刑を支持しているようなのですが、なにせ宗教が絡むだけに、イスラムを否定すると取られることを嫌う現政権は、大衆が望むようにさっさと死刑にすればよい、という決定ができずにいるようです。

不決定、による混乱。この件だけではなく、南アジアでは比較的広くみられる時間の無駄遣いは、かの地域が抱える政治的な負の遺産がいまだ重くのしかかっていることを改めて認識させてくれます。

最近は日本からの投資先として人気が出てきたバングラデシュ、だそうですが、決してバラ色の向け先ではないことをわかったうえで意思決定しなくてはならない、という事情を再認識させてくれる記事でした。