新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

遙かなり

10月26日号のScience and technologyには、恒星間宇宙飛行に関する研究の一端が紹介されるとともに、そのあまりにとてつもない規模を前に何らの実現可能性を導き出せない今日の科学のありようと、それでも未来へと目を向ける科学者に対するあたたかい見方についての一文が載っています。

いわく、宇宙はあまりに巨大である、ということ。日本でもよく科学雑誌や理科系の新聞記事でたまに紹介されることがありますが、地球を砂粒にたとえると、太陽は12メートルほど離れたところにあるボールにたとえられ、惑星を持った最も近い恒星であるアルファケンタウリBという星は3200㎞離れたところにある(東京からハワイまでの距離のちょうど半分です)のだそうで。

そんな距離を、科学はどう克服しようとしているかと言うと。

1)現在人類が作った観測機で最も遠くまで飛んでいるボイジャー1号は、1977年に打ち上げられたものですが、スイングバイと化学ロケットのおかげで秒速17㎞と言うスピードで外宇宙を飛んでいます。このスピードでアルファケンタウリBまでは、75,000年かかるのだそうで。

2)核エネルギーをロケットに使えば多少速くなって、130年くらいで到着できるのだそうですが、この場合到着するのは良いとして、止まるのにとてつもないエネルギーがいるそうです。そうでもないと到着先の太陽系を端から端まで二日ほどで抜けてしまうので、調査もなにもあったもんじゃない、ということになるのだとか。さらにこのオプションだと、全行程を賄うための核燃料は54,000トンほど必要になるのだそうで、それを打ち上げるというのは、言ってみれば大型タンカーをそのまま宇宙へ持ってゆくような話なわけですが、どんな入れ物に入れたら壊れずに宇宙へと持って行けるというのでしょうか。

それでも科学者は一生懸命に研究してくれているのだそうです。そんな努力の積み重ねが必ず明日を開くはずであるという、過去の歴史が教えてくれる効用を信じて、長い目で見守りたい研究ではありますが、素人的に言わせていただくと、何かがあるのはだいぶ先になりそうな感じ、ですかね。