新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

金融機関ブルース

11月2日号のFinance and economicsには、欧米で高まる金融機関へのコンプライアンス順守に関する圧力と、その厳しさについての記事が出ています。その厳しさや反論機会の難しさのためか、満足な反論をせずに示談ですませたり、簡単に課徴金を受け入れる例も後を絶たないのだとか。コンプライアンス順守による信用の担保にかかる人手とコストは膨大なものとなり、ただでさえ息苦しい経営をさらに圧迫するものになっている、のだそうですが、更に懸念されるのは、そうやってコスト体質の膨張を招いた金融機関は、仮につぶれるようなことがあった場合にでも「非常に救済されにくい」体質になってしまうということだそうです。

金融機関は基本的に経済のインフラ部分を構成する業種なわけですから、簡単につぶれてしまっては困るわけですが、資本主義経済下では競争力のない企業は退場を余儀なくされるわけで、潰れた銀行は解体され、競争力のある部門は他社に引き取られる(救済)という道が残るべきところ、法令順守のため競争力を失い、それができなくなる恐れすらある、ということだと思います。

角を矯めて牛を殺す、ということわざがありますが、じゃあどうすれば、という議論に対して「コンプライアンスを守るコストダウン」的なビジネスモデルが提供できれば解決するのではないかと言うことを申し上げたいと思います。世の中、そんなモデルがあるのか?という議論に対しては「ここにある」としっかり提案できる素材を、日本は持っているはずなんですけどね。

日本がいかにして金融再生(経済再生と言っても良いかもしれません)に取り組んだのかについての事例をまとめ、その中にちりばめられたノウハウや解決法を世界に提供するというのは、バブル崩壊後の20年を必死の思いで乗り切ってこられた方々に課せられた、先達としての責任の一端ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。