新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

見たままの

ネットでは11月16日号が流れています。Leadersは、といえばフィリピンを襲った台風30号(英語ではTyphoon Haiyanと呼びます)が二番目に来ていて、トップはbriefingでも取り上げられているのですが、世の中ありとあらゆるところに取り付けられるようになってきたCCDカメラとプライバシーの問題についての論評記事となっています。

なんでもGoogleが、メガネのようにかけられるコンピュータ(当然カメラ機能付き)をためしているのだそうで、ロシアで流行して彗星の落下を撮影した車載カメラ(日本でも最近流行っているそうですが)だとか、カメラ機能がどんどん向上しているケータイ等を含めると、いわゆる監視カメラだけの話ではなくなること、さらに技術の進歩は顔認証の機能をもどんどん発達させており、ありとあらゆるところが監視の対象になってきていることが報告されています。戦場で、兵士のヘルメットに取り付けられたCCDカメラは戦争犯罪の抑止につながるようになる反面、パパラッチは無人飛行機などで盗撮を狙うようになるわけですね。

せめてもの良心、というわけでもないでしょうが、日本のデジカメメーカーがシャッター音を必ず出すような設計にしていることや、Googleが顔認証ソフトを使えなくしていることなども触れられていますが、膨大な映像のデータベース化はどんどん進む流れにあり、そうするとThe Economistが言っているように「浮気をされたかもしれない奥さん」や「経営幹部を疑う労働者」などは「知る権利」「見る権利」を言い出すようになるのだろうと想像されます。日本でいうと、JR北海道で発生しているような不祥事は、「オフィスにカメラをつけろ」「保線作業を録画すべし」というような流れにさえなってゆくかもしれません。

そうなると、単にプライバシーの問題と言う以上に、人間の尊厳にかかわる問題に発展してゆくのではないかという気がしています。私も、いずれクライアントから支給されたカメラを取り付けたオフィスで原稿書きをしなくてはいけなくなるのでしょうか。それはとってもトホホな人生になるのではないかという気がしますが。