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新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

日本について:今、世界が何を見ているかと言うと

4月26日号のAisaのトップ記事は日本と周辺諸国、特に韓国・中国との関係に注目しつつ、それらが遠くない将来に向けて改善されるのでは、という観測記事を載せています。

なかなか日本では出会わないトーンのメディアによる観測だと思いつつ、その中身を見てみます。

1)韓国については、オバマ大統領のアジア歴訪に先だって、安倍首相が歴代内閣の「談話」を尊重するとの発言をしていたこと。それがオバマ大統領による、いわゆる「従軍慰安婦」問題に関して人権との関係に注目した発言となり、即座に安倍首相がそれに賛同する発言をしたこと。このあたりは、大統領の行程を逆算すれば、なるほどとうなずける話でしかないのですが、だとすると安倍首相は「それを落としどころと読んで」昨年暮れの靖国神社訪問をした、と勘繰られてもおかしくないほど「日程通りの展開」になったことになります。ホントにそうだとすれば人を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい話であり、またそうでなかったとするなら、何をもって勝ちとするバクチを演じているのか、そろそろ国民にホンネを話してほしい展開、と言える流れなのかもしれません。ここまでがThe Economistの記事から推定できる範囲で、以下は私なりの見方です。

ここから先の二か国間の議論がどれほどこじれたとしても、日本はもう韓国相手に納得的な説明の付かないカネは出さない(出せない)と思います。しかしながらその範囲において、さまざまな施策は講じられるかも知れず、それに沿っていわゆる歴史認識についても様々な議論は起きることと思われます。そうなればそうなるほど、議論の多様性を認める「お作法」が韓国の人々の目にも入ることになるので、日本の視点から見れば長期的にはむしろそれこそが(韓国側の問題提起により歴史認識多様性があきらかになる)望ましい展開、と言えるのではないかと思います。拙速な解決は避け、この際向こう100年、1000年を視野に入れた長い視点での国益追求を進めるべきと考えます。

2)中国については、胡耀邦氏の息子さんが訪日した件にThe Economistは注目しているようです。で、日本のメディアはほとんど伝えていないと思うのですが、胡氏は安倍首相とも会ったのだとか(ホントかな)。だとすれば、ある程度のメッセージのやり取りは可能だったはずで、私たちが先週見たのは『それを受けてのオバマ大統領訪日および日米共同宣言』だったとすると、中国政府が尖閣諸島近辺で公船の領海侵犯を繰り返す程度の対応しか見せていないことは、先方がこれ以上の悪化を望まないとする、ある種のシグナルと受け取れないこともない、のだろうと思います。

ただ、The Economistよりもさらに慎重な見方を取れば、ハルビン駅への銅像建立を嚆矢とした、対日関係を巡るいわゆる中韓連携の問題や、台湾をめぐる米中の綱引き、さらには対ウクライナ・シリアそして対ロシア問題への対応など、その他の変数を巡る日米中韓関係の近況が今一つ絵姿に入ってきていません。そして(ある意味で外数なのですが)北朝鮮問題がこれに絡むので、何か良い兆候が見られたからと言って日中関係の改善、などという簡単な図式にはならないと思います。

むしろThe Economistが触れずに通過しているTPPの議論を巡って、日米がどのあたりで合意することになるのか、そしてそれが経済の曲がり角を経験しつつある中国にとってどれほどのプレッシャーになっているのか、そのあたりを軸に考えないと変化の方向性を見誤ることになるのではないか、と危惧しています。個別に整理すると、

1)長期の国際社会にとって重要なポイントは結局は経済、であること

2)アメリカ(や日本)に投資してもらったり、モノを買ってもらえないことには、自国を支える経済成長がもはやできないことを、中国の為政者ははっきり理解しているらしいということ

3)アメリカに比べると、それ以前に解決すべき諸問題を、中国のほうが圧倒的に多く抱えているのが現状らしいこと

そこまで十分に視野に入れたうえで、なおかつ中国が共産党一党支配の政治体制であることが不安定要因の大きな要素になっているように、私は拝見しています。

というわけで、意外にも2014年4月25日段階の、最低限アングロサクソンのメディアは、日本を巡る外交環境の目に見える変化、についてこんな書き方をしているんだよ、という好事例になりました。The Economist編集部の皆さん、どうもありがとう(経験値的に見ると、この記事の予言が当たる確率は実はそう高くはないのですが。。。)。