新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

シリコンバレーと日本経済の類似点

ネットでは7月25日号が流れています。

表紙とLeadersのトップを飾るのは、最近向かうところ敵なし、という好調ぶりを見せているアメリカ・シリコンバレーについての記事です。最近ではアメリカのビジネススクール卒業生のうち2割はシリコンバレーに就職すると言うことですし、ゴールドマンサックス社は株主総会をサンフランシスコで開催したそうで、飛ぶ鳥を落とす勢いというのはこのことを言うのかな、という感じですね。ところが。

実はこのシリコンバレー、アメリカの(というか既存の)ビジネス界からはどうも今一つ評判がよろしくない部分もあるようなのです。ひとつは、企業単体としては極めてオープンで柔軟性が高く、近場で知り合う起業家やエンジニアとは簡単にアライアンスを組んで仕事を始める文化がある割に、その文化がシリコンバレーという枠組みに閉じこもっている、という批判に象徴される点です。今一つは、成功しても株式を公開せず、かなりの間はプライベートエクイティ(非上場)でやろうとする傾向が出てきていること。言語や文化の通じる業界人ネットワークですべて片が付くので、そうであればより便利な方へと流れて行っているという感じですかね。日本も、手堅く成功を志向する会社は非上場で、という考え方が依然として支配的だと思います。

要は仲間内で固まっていると言うことだと思うのですが、この点は何となくかつての日本に似ているような気がするのです。かつての日本も、効率というコトバがすべてに優先されるようなベクトルがあって、それを理解しようとしない外部にほぼ全く頼らない形で成功を現出してみせた、という時代がありました。

これは統計的に論証された話でもなんでもなく、なんとなくそんなイメージがある、と言った話にすぎないのですが、もしもこの洞察が当たっているとすると、シリコンバレーにはその成功事例がやがてガラパゴス化する可能性さえ漂っているということなのかもしれません。シリコンバレーの成功組が、内に籠ると言う批判の頸木を打ち砕き、成功をさらなる広がりへ繋いで行けることを祈りたいと思います。