新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

軍事パレードの意味するもの

ネットでは9月3日号が流れています。

表紙とLeadersのトップは大統領選挙を来年に控えたアメリカについての話題ですし、Leadersのその他の記事もアジアのそれではありません。それでも昨日北京で行われた軍事パレードに関する記事は、Chinaにしっかりと出ています。

中身的にはお決まりの、The Economist一流のささくれだった表現を使いながらも事実関係の報告を装ったものになっているのですが、9月3日が記念日になったのは2014年からであること、国慶節に行われていた軍事パレードが今年はこの日にも行われるようになったこと、抗日戦勝利を記念して、と言う割に抗日戦を戦ったのは共産党ではなく国民党だったことなど、どうかすると日本のメディアですらすっ飛ばしがちな属性について、よくもまあしつこく書くねと褒めてあげたくなるくらいの断り書きをすることを忘れません。

それでも、ここがポイントかなあと思わされたのは、習近平こそが唯一のリーダーであることを知らしめたイベントであったという整理ですかね。確かに周辺の工場を止めて青空を取り戻したことや、江沢民胡錦濤両氏を横に立たせた状態で演説する映像を大写しにしたこと、彼一人が車から閲兵する様子などが映像メディアでも繰り返し流されていましたっけ。

御膝元では、上海株式市場に端を発した経済の混乱があり、また天津の爆発事件があったりと、盤石な体制に疑問符が付く事象も起きていますが、そうであればこそのパフォーマンスであったろうという読み解きは成り立つようで。

意外とぎりぎりの、あるいは精一杯の、背伸び状態なのだとしたら、案外の脆さを内包している状態なのかもしれませんが、問題はそれが何についてなのか?ということでしょうか。経済?たしかに。国内の権力闘争?これはよくわかりません。ただ、安泰ですと言われてハイソウデスカと信じられる状態にないのだろうな、ということは何となくですがよくわかる、そんなイベントだったかな、と思います。