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新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

Valuationの難しさ

9月3日号のBusinessには、つい最近までその急成長ぶりが注目されていた中国のスマートフォンメーカーであるシャオミ(小米)の停滞についての記事があります。これを読むと、企業価値評価(ValuationあるいはPricingなどと言います)がいかに難しいものか、が良く分かります。

www.economist.com

シャオミは、機能を制限した低価格スマホ、という成長モデルでここ数年の間に一気に出てきたメーカーです。2013年から14年にかけて数倍の伸びを示したその出荷台数は、15年にかけても好調だったのに、今年は頭打ちからすでに減少刷るのではないかとの予測が出ています。

原因は、中国におけるスマホ市場の急速な成長で、すでに市場の関心は廉価版スマホから高機能モデルへとシフトしてしまっている、という読み解きがあり、シャオミがこれについて行けなかった、とするものです。

他方でシャオミの経営陣は強気なようで、彼らが「エコシステム」とよぶ生活家電に大規模な投資を行っているとのこと。

具体的には、センサー感度を極限まで高めたロボット掃除機や、スマートウォッチ、空気清浄機、はては炊飯器なども市場投入を図っているとのことなのですが。

その規模は何と10億ドル。企業価値が460億ドルとされる同社ならではの投資規模だと思いますが、市場関係者によると実際の企業価値は1/10くらいではないかとのこと。

なんでそこまでバラつくのか?という原因は、①本業のもたらすキャッシュフローが実績より悲観的に評価されていること、②投資案件が、単独での投資回収は難しいと判断されていること、の両方が考えられます。

まずキャッシュフローですが、確かに携帯電話市場の激しい動きをみれば、ブラックベリーが急速にダメになっていったように、あるいはそれよりも速く、低価格スマホが市場から駆逐されるパターンは「あり」だという評価なのだろうと思います。少なくとも、これまでのような成長はないでしょう。同社が目指したサービス分野での市場拡大失敗もマイナスに響いていると思います。

儲けに対する人間の感性は、おととい2倍、昨日も2倍になった株式について、今日が1.5倍になったとすると、不満足を感じるものらしいです。それがもたらす幻滅は、投資家の目を他の銘柄へと誘います。

つぎに投資案件ですが、ロボット掃除機くらいはわからなくもないとして(サービスビジネスに失敗した同社が、さらに市場的に言うとかなり後発組になることを覚悟するとすれば、ですが)、空気清浄機でパナソニックダイキンに、炊飯器でタイガーや象印に、低価格スマホメーカーがどうやって勝つつもりなんでしょうかね。目論見書を読まなくても案件を聞いただけで、あるいは商品をみただけでピンとくる、ような仕立てがないと、なかなか投資案件としての成功は望めないのではないでしょうか。炊飯器について言えば、たとえば日本人が指名買いをするようなインパクトある商品を出さない限り、投資案件として投資家の賛同を得るのは難しいような気がします。

そう考えると、企業価値評価的には1/10でも甘い、という結論になるのではないか?ということですけど。