新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

不満の終着駅(とりあえずの)

ネットでは9月17日号が流れています。

その中の、United Statesの記事で最もコメントが多いのがドナルド・トランプ氏とアメリカのネトウヨともいわれるオルト・ライトの関係について書かれた記事でした。

ネットで調べてみると、オルト・ライトとは共和党支持派の新興勢力ということで、元々の保守派、ネオコンリバタリアン(完全な自由を求めると言われる)、ティーパーティと来て、複雑に入り組んだ保守的な思想をさらに上塗りするような立ち位置の人たちらしいです。

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アメリカがこれまで築いてきた社会システムに対して、弱者への配慮や女性の社会進出を嫌い、キリスト教の優越をも嫌い、何というか支離滅裂なる不満の塊、みたいな一団らしいのですが、開き直って白人優越や移民排斥、女性差別を言うあたりが、トランプ氏の主張と近いということのようですね。

何というか、アメリカで保守的な方々の不満が膨張し続ける時代はここ10年以上続いているように思うのですが、看板の架け替えもうまく機能せず、焼きなおすネタも尽きかけているところにトランプ氏が登場した、ということなのではないかと思います。

冷静に考えて「まさか」と思うようなスタンスを崩さないトランプ氏の支持率が、上がることはあってもなかなか下がらないのは、目に見えてオルト・ライトではないにしてもその考え方に近い反応が、何か薄曇りのように社会全体を覆いだしているからなのではないだろうか、直感的にそんなふうに見ています。その支離滅裂さもあって、選挙期間中の騒ぎがガス抜きとしての役割を果たすなら、最終的にはしぼんでしまうものではないのかな、と基本的には思うのですが、もし11月の本選挙までの時間が十分でなく、まだ熱を残したまま本選挙を迎えるのだとしたら、意外と思わぬ結果につながったりするのかもしれません。

ちょっと興味深いのは、クリントンが肺炎で数日選挙戦を休んだことが支持率にどんな影響をもたらすか、という点ですね。もしもオルト・ライト的な動きが、大衆が熱に浮かされたことによるものだとしたら、病気になったにもかかわらずクリントンの支持率は上がるか悪くても落ちないのではないか、むしろこれを機に冷静になる人がトランプへの支持を引っ込めるのではないかとすら思えることです。最新の動向はテレビニュースなどで伝えられていますが、さすがにクリントンが肺炎だからといってトランプが逆転する構図にはなっていないらしいですね、今のところ。