新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

異なる二つ?

3月14日号のLexingtonです。

アメリカ・オバマ大統領の政策を「ヨーロッパ型社会主義」と批判しているのは、ギングリッチ元下院議長など他ならぬ共和党右派の方々のようですが、The Economistの分析によると、その批判は当たっておらずむしろヨーロッパとアメリカではまだまだ違いの方が大きい、ということのようです。

確かに、CO2削減に熱心だったり公的資金による企業救済をやったりと、部分的にはこれまでのアメリカのリーダーと異なる道を選んでいるケースはあります。部分的にはヨーロッパと似た政策もあるでしょう。でも、それで即「ヨーロッパ型」というならそれはヨーロッパを知らない人向けの批判にすぎないだろうと。

若いころ留学したり言葉ができたりと、他の大統領や大統領候補にはヨーロッパとのつながりが深い人もいたようですが、オバマ大統領はケニア・インドネシアとのつながり以外にはずっとアメリカで育った人で、これまでヨーロッパに影響を受けるような過去はなかったとの見方に加え、事実関係のみならず政策の方向性としても「ヨーロッパ型」という捉え方は当たっていないと共和党の見方を否定しています。オバマ大統領がヨーロッパ型の健康保険システムの採用を拒否しているあたりも論拠とされています。

福祉国家の運営においてはヨーロッパがはるかにアメリカをリードしているのに対し、起業家育成などについてはアメリカが圧倒的なノウハウを有しているとの分析も、まあそうかなと聞けるのですが、たとえ似ていたにせよ中長期的な将来に双方の統合や今以上の関係改善が緊急性の高い課題になるとはなかなか思いがたく、端的に言えばヨーロッパの政策とオバマ大統領のそれが似ていようがそうでなかろうが、むしろ違いの認識をきっちりと持ち合った上で、それでは双方何ができるかを議論した方が解決が早くなるのではないかと思います。

ブッシュ前大統領からの政策的な振れ幅の広さのせいでしょうか、米共和党は完全にバスに乗り遅れたような格好になってしまってますね。あ、これは私の個人的な心証ですが。