新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

大きいか、小さいか、ではなく

5月30日号、Leadersのすぐ後のBriefingです。

オバマ大統領のものとおぼしき手の写真がついた記事のタイトルはThe visible handとなっていて、かのアダム・スミス国富論で説いたという「神の見えざる手」(The invisible hands of God)をもじってつけられたものであることは明らかですね。

いささか長い記事ですが、要約して言うとオバマ大統領のやろうとしている政治(経済の建て直し)は大きな政府のそれに近く、それは民主党が進めようとしている政策に沿っていて、国民の支持も民主党支持者によるところがおおきい、と言う話。

では歴代の民主党がみな「大きな政府」志向であったかというと、全然そんなことはなく、カーターの時代も、クリントンの時代も、基本的には規制緩和志向であったという話。そもそも建国の精神が政府に対して懐疑的だったアメリカの伝統は、しっかりと受け継がれている模様。

オバマ大統領の苦悩は、経済立て直しのために苦渋の選択を強いられるその政策が、ことごとくその伝統を覆すものであることかもしれません。The Economistは、応援団よろしく「大きいか、小さいかではなく機能するかどうかが問題」とのスタンスです。何年か後に不況脱出が叶っているとした場合、そのとき人々はプロセスがどうだったかなんてあまり気にしないものですよ、という一言はある程度当たっているようにも思えるのですが、ツケが残ることについては結構疑問符がつくような気がしています。さて。