新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

リーダー不要論?

6月11日号、前半のBriefingは震災後の東北地方が見せた、言わば人間の尊厳そのもののような奮闘ぶりと、それに比べてあまりにもお粗末な日本の政治を並べ立てて、皮肉にも同じ国で同時に存在する二つの「危機」のありようについて淡々と述べています。

危機に及んで滅私的に社会や周囲の人を優先しようとする事例の数々を、わざわざThe Economistが取り上げるその理由は、世界の大国や先進国と言われる国を含めてどこにも、これだけの落ち着きや復興への取組みを見せる国がいないであろうこと、それゆえ政治や経済ではここしばらく停滞の報ばかりが続いた日本について久しぶりに、しかも根源的に、世界を驚かせるものであったことなどによるものではないかと見ています。

反面、その政治のお粗末さ加減は今更何を言うべくもないしょうもなさ、なわけですが、そのせいか読者コメントは、熱烈な日本ファン若干名による応援メッセージが目立つくらいで、さして数も多くありませんでした。

サイレントマジョリティの感覚を代弁すれば、「日本は大変だったよね。でも地道に復興への努力がされるならどうぞ頑張って。政治がどうしようもないのはどの国も一緒だよ。多くの人々は日本人みたいにすごくないから暴動や武力による反権力闘争に訴えるし、どっちが問題かって言えばそっちのほうがヤバいかな、と思う。」みたいなことじゃないかと思われるのですが、その中で敢えて日本についての記事をのせたThe Economistの意図は、「そう言う状況だからこそ、敢えて日本を見れば?ただし政治のありようを含めてマネしろとは言わないけど。」と言ったあたりにあるのではないか、と見ています。