新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

再び日本人の手に

4月14日号のBusinessには、ソニーの社長交代に関する記事が出ています。ストリンガー前社長から平井新社長へのバトンタッチは、先行きの不透明さや施策の堅実さとあいまってか、驚きは少なく静かな、そしてやや懐疑的なトーンで迎えられたようです。記事を読んでいてやや奇異に感じたのは、「平井氏は日本人なので、ウェールズ出身だった前任の社長よりも従業員を連帯させることができるものとアナリストは期待している」という一節ですかね。日本人だから、16万人を超える従業員を連帯させられる、もしくはウェールズ人は部下をまとめるのが下手、のどちらにでも取れる記述ですが、私の率直な感想は「あんまり関係ないんじゃないの?」です。それほどまでに目新しい、反転攻勢に繋がる要素が少ないということの暗喩かと思いますが、逆に言うとそれに頼らなくてはいけないほどに、もしくはそれに頼る他の選択肢がなくなるまでに、「次の一手」への備えが遅れたということなのでしょう。

かつてまだ、同社が素晴らしく元気だったころ、当時経団連のお偉方が「トップが将来の芽を摘んでいる」と言うような言い方で同社の将来への懸念を示す場面に偶然出くわしたことがあります。当時はオフレコの話だったのですが、いまにして思えばあの時の懸念は予言に近いものとなってしまったかなという気がしています。