新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

共和党の失敗に学ぶとしたら

11月10日号のLexingtonは、米大統領選の敗北を受けて党勢の立て直しを図る米共和党にとっての現状について、興味深い分析を載せています。

まず、敗北と言っても議会選挙を含めて言うと、共和党は必ずしも負けすぎなかったことがポイントになるということで、下院において引き続き多数を占める構図は変わらないことから、今後の政局に一定以上の影響力を残したのは大きかったとの認識ですが、それを踏まえたうえで、次回以降の選挙に何を訴えるのか、どんな候補を立てるのかを考えて行けばよいだろうという判断です。幸い、今回の副大統領候補だったポール・ライアン氏など、2016年の大統領選挙を戦うための人材には困らないようなので、あとは今回の敗因を克服するための対策をしっかり取って行けば、ということのようですが、実際はこの点が難しそうです。

白人の、中高年を中心とした共和党支持層は、黒人・ヒスパニック・女性を中心とする民主党に比べると明らかに広がりを欠くこと、さらにロムニー氏がキャンペーンで訴えた「アメリカを信じよう」というスローガンを支える共和党の政治家が、キリスト教絶対主義や妊娠中絶反対を訴える超保守的な立場をとったりすることが、党勢の拡大を難しくしている要素だと言うことですが、これらの問題に気付いているはずの「思慮深い」共和党員にとっても、克服は簡単なことではないと思われます。

連合を支持母体とする日本の民主党も(公明党はもっとそうだと思いますが)そうですが、「少数支持者の呪縛」から逃れるのは大変に難しいということですね。少数支持者を裏切らず、多数を味方につける政策や理念、もしくはカリスマが出てこないことには党勢の大きな回復は見込めない、そんなメッセージをThe Economistは伝えようとしているのだと思います。