新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2060年になっても

11月10日号のFinance and economicsには、OECDによる2060年の経済予測値の中から、国民一人当たりのGDPがどのようになるか、アメリカの2005年に対する購買力平価で示した興味深い数字が出ています。それによると、カナダが85%強、日本やドイツ、イギリスが約80%でその後に続き、中国やインドは60%止まりと予測され、依然として「一人ひとりの生活」では先進各国が優位にある、との分析になっています。

2060年というと、今から48年先の話であり、30年で一世代と考えるとおよそ1.5世代の時間差が発生します。それだけ違えば相当世界のあり方も変わるわけで(今から48年前の日本がどのような立ち位置にいたのかを考えれば明示的だと思います)。ちなみに2011年現在の数字を見ると中国は18%程度、インドは10%にも満たない数字となっていて、格差は歴然たるものがあるのですが、The EconomistもしくはOECDの数字を信用するに、「格差は縮小する」ということになっています。これは人類の歴史上かつてなかったことだと思います。

ざっくり言うと、80%前後にある先進国と、中国・インド・ギリシャ・ロシア・トルコなど、50−60%前後の水準にあるその他の国の2グループにまで格差は収斂するという絵姿なのですが、だとするとそれは大きな改善と言えると思いますが、この仮定については1)そもそもそんなに順調にインドや中国が成長するものなのか、2)仮に実現したとして、人口大国たるインドや中国がどのような立ち位置でいるのか、3)先進国はどのような役割を果たし、世界は何を目指すのか、肝心のところが知りたくなってきますね。超高齢社会の到来が国の黄昏を暗示するがごとき日本ですが、水晶玉に映る景色は意外と少し違っているのかもしれません。