新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

イスラエルとパレスチナ

11月24日号のLeaders、トップはイスラエルとパレスチナの間で交わされた停戦合意と、中東和平の今後の展開についての話です。ま、結論としては「国際社会の後押しで1967年に合意された国境線にもとづくパレスチナ国家の建設やエルサレムの共有を実現すること」、という新しくはない話でしかあり得ないのですが、The Economistがさらりと流している国際社会の貢献について、大変興味を持ったのが政権交代後のエジプトの立ちふるまいです。ムスリム同胞団出身のモルシ大統領は、ハマスに近くその分アメリカとの距離があると見られていたはずですが、今回の停戦合意に向けた仲介役としての働きは立派なものだったのではないかと思うのです。両者に対して国際社会の声を代弁し、かつガザ地区への経済封鎖をイスラエルに見直させるという「実を取る」妥協点で決着させたことに、エジプトの役割が大きかったであろうことは想像に難くありません。

アメリカべったりだったムバラク政権では難しかったであろう実務的な仲裁が、ムスリム同胞団出身の政権によってこそ可能になるという変化は、ある意味で民主主義の有効性を示している事例ではないかと思います。傀儡政権に自らの企画を実施させるというやり方と、氏素性はどうあれ民主的に選ばれた政権に国際社会の期待を示し、その調整能力に任せるというやり方と。

アラブの春、は結果として混乱ばかりをもたらしたという批判もあったかと思うのですが、今回の停戦合意を見るに、成果も着実に表れているように思います。