新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

そう見えるんですかね

6月1日号のAsiaには、日本を巡る記事が二つ載っています。すぐ後ろのChinaにも、抗日ドラマについての小さなコラムが写真入りで出ています。この3つの記事を通覧してみると、アングロサクソンが今の日本や日中関係をどう見ているか、おぼろげに浮かんできます。

まず最初の記事で目立つのは、安倍首相やその周辺を「修正主義者」(revisionist)としてひとくくりに捉えていることですね。自由主義の行き過ぎを正し、国権による人権の制限をも視野に入れた政治改革を目指している、との指摘です。憲法第9条を変えることが目的で、そのために憲法第96条を先ず議論していること。それより先に経済活性化でしょ、というのが記事の結論ですが。

その次の記事ではASEAN諸国との連携強化について、当然ながら(?)対中国という基軸に基づいて、対日感情にくすぶりの残るフィリピン、ミャンマー、ベトナムまでを対象とした援助と関係強化の流れについて紹介しています。

で、抗日ドラマについてなのですが、荒唐無稽な内容に当局が文句をつけたくても、外交関係を考えるとそれは難しくなりつつあるのでは、との結びは何をかいわんや、であります。一連の動きを見ていればバカにされても仕方ない要素は確かにあると思うのですが、この記事の書き方だと中国や中国人の民度をあまりに低く見てやしませんか、とすら言いたくなります。

それ以上に、3つの記事を通して見えてくるのは日本について戦前の姿との重なり合いを気にしすぎてるんじゃないですか、と言いたくもなる書きぶりですね。アングロサクソンから見ると、60年以上同じ陣営でやってきた実績なんて、取るに足らないもの、ということなのかも。

だとすると、イギリスは当然のことながら、アメリカも含めてアングロサクソンとの付き合い方は、どこかで客観的かつ冷静に彼我の距離感を測る機会を持った方が良いということなのだろうと思えてきます。「そんなふうに見てたなんて」、と後になってホゾを噛まないために。