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新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

退化?

4月25日号のAsiaには、出口の見えない政治的不安定さを克服しようとするタイの新憲法について、西欧的な視点に立つ辛口の論評が出ています。

ここ10年近くに渡って、タイの政治を不安定化させている構造は、北部・東北部の農民んを中心とした人口の多数が支持するPT、日本のメディアではタクシン派と呼ばれる政党が必ず選挙で勝つことに対して、都市部・南部のエリートが支持するDP(民主党)が選挙では勝てないのに、司法や軍を動かしてクーデターでPTの政治をさえぎる、というものでした。現在タイを治める軍事政権は、「新憲法制定と選挙による民政移行」を公約に掲げているため、その動向が注目されていたのですが、このほど憲法草案の骨子が明らかになったということです。

それによると、議員の中で十分な支持を持った者がいない場合、非議員にも首相になる道が開けるということです。また現状では半数が選挙で選ばれている上院議員のうち選挙で選ばれる人は1/3に満たなくなるだとか、立候補者は10余りの機関から認証を受ける必要があるが、そのうちの一つに国家倫理会議とでも訳される機関があり、反政府的なものはすべて倫理的に問題があると整理されかねないとの敬遠が示されています。また、国家改革会議と呼ばれる別の認証機関の構成は、120名のうち3/4が軍政に関係した人たちで締められるのだそうで。

字面を追って行くと、確かに軍政の手綱がきつくなったことが窺える内容ですし、民主主義の広がりという観点からすると退化したと言われても仕方のない内容なのだろうと思います。そもそも自らの支持基盤に対する利益分配やマスコミ操作で政権を固めようとしたタクシン派のやり方がクーデターを招いてからこの方、なかなか負のサイクルを脱出できないタイの内政ですが、短期的には国際社会から退化を批判されようとも、最終的には不退転の覚悟で改革が進められることを期待したいと思います。