新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2011-01-01から1年間の記事一覧

真のピンチとは

10月15日号のBusinessには、命綱の電子メール送受信でミソをつけたカナダのResearch in motion (RIM)社のピンチに関する記事が出ています。会社の名前を知らなくても、ブラックベリーといえば「ああ、あのちょっと変わったケータイか」と思われる方は少なく…

規則も規制もなく

10月15日号のBusinessでは、日本の経済産業省による「クールジャパン」プロモーション戦略についての紹介記事があります。紹介以外の何物でもないのですが、取り上げられているファッションの考え方はといえば、「ノールール、ノーレギュレーション」(規則…

高まるアメリカの嫌中感

10月15日号のUnited Statesには、アメリカ上院が中国の為替管理に対抗する新たな輸入関税措置を認める法案を可決したことに関する論評が出ています。今週号はLeadersにも対中貿易に関する保護主義的な動きを批判的にみる記事が出ていますが、いずれの記事も…

逃げどころなし

10月15日号がネットで流れています。今朝は時間がないのでLeadersの一本目だけ。Nowhere to hideと題したその記事は、アメリカとヨーロッパで続く経済危機への懸念から、投資家が逃げ場のないピンチに追い込まれている、そしてその近未来はまさに日本が経験…

ワンガリ・マータイさんのこと

10月8日号のObituaryは、先ごろ亡くなられたノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんでした。日本では、環境活動家として、また「モッタイナイ」を世界に広めようとしてくれたことなどばかりが取り上げられていますが、The Economistの紹介はちょっと…

宇宙的自由研究が物語る脱PC、の話

10月8日号のSpecial reportはpersonal technologyというタイトルで、パーソナルIT環境の変化に関するさまざまな報告が載っています。大局的な変化に関する目の付けどころは悪くないとして、The Economistと言えどもさすがに厳しいのは、近未来の話を書いたと…

スティーブ・ジョブスについてもうちょっと

10月8日号後半のBriefingには先ごろ亡くなったアップルの前CEO、スティーブ・ジョブス氏に関する記事が出ています。亡くなった方の記事は、The Economistの場合obituaryに出るのですが、今週はノーベル平和賞を受賞した「モッタイナイ」のワンガリ・マータイ…

放射能 果てしない悩み

10月10日号、Asiaには福島県飯舘村の放射能汚染に関する現場からの報告が載っています。日本のメディアでもあまり伝えられていないその果てしない悩みは、除染活動を進めようが表層土を削り取ろうが、森の木の葉についている放射能が雨や落葉によってどんど…

商の中国、戦の米国

9月24日号のBanyanは、アジア太平洋を巡り経済的覇権を狙える位置についた中国と、引き続き同地域の軍事的覇権を握る位置にいるアメリカと各国の距離感について興味深い記事を載せています。その内容を一言でいえば、周辺各国は中国の台頭を懸念し、アメリカ…

アメリカも、待ったなし

9月24日号のUnited Statesには、オバマ大統領の目指す財政改革を巡るアメリカ国内の議論について触れた興味深い記事があります。それによると、現在の政策を継続すれば、国の債務残高が2020年にはGDPの80%を超えるだろうという試算がある一方で、オバマ大統…

アメリカは、こうすべきだという意見

ネットでは9月24日号が流れています。さて、まず巻頭のLeadersですが、アメリカを中心とした先進国の税制改革に関する議論、先進国対新興国の違いが際立つ世界経済、パレスチナの国連加盟問題とアメリカの反対、イギリス労働党党首に望まれるリーダーシップ…

教育という名の投資案件

9月17日号、ちょっと戻って巻頭のBriefingですが、教育(しかも中等教育)に関する興味深い分析記事が載っていましたのでそれについて。日本でもメディアが良く取り上げる話題だと思うのですが、OECDが世界各国の15歳の学力比較をするPISAというテストを実施…

見方によって

9月17日号のBusinessには、環境に配慮したビジネスで成功している新興国企業の例を取り上げたダボス会議とボストンコンサルティンググループ(BCG)のレポートについての論評が出ています。水不足のインドで少ない水によるセメント製造法を開発したセメント屋…

世界にも知恵はなし、今のところ。

9月17日号のBusiness and financeには、日本の原子力発電政策に関する現状報告が載っています。さほど数は多くない読者コメントは、意外にも日本人からの投稿が少なく、おそらくはヨーロッパ方面からの書き込みが多かったのですが、慎重な意見が目立ちます。…

ユーロとその未来

ネットでは9月17日号が流れています。Leadersのトップは、一層深刻さを増すユーロ危機について。ギリシャ離脱の危険性や、デフォルトに端を発するドミノ現象などへの危機感は、ある意味当然ですが大変高い状況になっています。The Economistが提案する方策は…

中国の、外交姿勢の変化?

9月10日号のAsiaのトップでは、アラブの春をめぐる中国外交の微妙な変化が詳報されていて大変興味深かったです。曰く、エジプトでの政変に際して中国はこれまでと同じ情報管制と自国への飛び火を予防するための措置を講じることに徹し、反政府勢力の要求を不…

長く遠い雇用への道

9月10日号のLeaders、トップは米欧社会を覆う失業の影についての話です。 先ず第一に、その規模の大きさと深刻さについて。スペインの失業率21%は言うに及ばず、アメリカ全土でも25百万人ほどの失業者+思ったほど働けない人がいて、それはテキサス州の人口…

10年経つと言うこと

9月3日号は表紙がニューヨーク、世界貿易センタービルのシルエットです。Leadersの一つ目の記事も、9.11発生以来の10年について、という内容なのですが、確かにあれからもう10年も経ったのか、というのが正直な感想です。 10年前のことを思い出すと、確かに…

金魚じゃなくて

ネット版から。みずからをドジョウにたとえた野田新首相について、The Economistが考えるまずやるべきことは、「他の政治家を黙らせて、やるべき仕事をやらせる」ことだそうです。さしあたり、強く同意。(今日はツイッターみたいですけど)。

移民は悪か

ネットでは8月27日号が流れています。 Leadersを見ると、リビアの政権崩壊、欧米で懸念される経済の二番底、意外と伸びていないメキシコ経済、なかなか上手く行かないインドの汚職対策、そして(とくに西欧向けだと思うのですが)移民歓迎を表明する意見記事…

ふるさと債?

8月20日号のFinance and economicsで、さほど注目されている記事ではないのですが、ちょっと個人的に気になった記事がありましたので、それについて。いわゆる途上国にほぼ共通して、外国への頭脳流出または出稼ぎ移民が相応の規模で続いているという現象が…

フルーガル・エンジニアリングとは

8月20日号のBusinessには、「そう言えば、あれ、どうなった?」と思わず聞いてしまいそうなインドの国産車「タタ・ナノ」の近況についての論評記事が出ています。一時期鳴り物入りで市場投入された2000ドルカーは、その後どうなっているのでしょうか?結論か…

大連の化学工場を移転させたもの

8月20日号のAsiaは、このところそういう週が多いのですが、中国関連記事オンパレードという感じです。中でも特に目を引いたのは、インターネットや携帯メールが発端となって発生した市民デモをきっかけに移転が決まったと言う大連の化学工場に関するニュース…

結婚しないって

8月20日号のLeadersトップは「アジア人が結婚しなくなっている」という記事で、日本や台湾、シンガポールは言うに及ばず、結婚年齢の上昇や非婚などは中国やインドなどアジア全域で広く見られる傾向だという話です。これによる出生率の減少は急激で、人口構…

それでも私はやってない

・・・みたいなタイトルの映画が何年か前にあったような記憶がありますが、さて8月13日号のScience and technologyには、追いつめられると無実の罪を「告白」してしまうという、冤罪事件にありがちな人間の挙動について、興味深い報告が載っています。研究に…

所得の再分配について

8月13日号のEconomic focusは、低所得層に対する所得の再分配について興味深い分析をしています。曰く、移民の少ない国であればあるほど税金を通じた所得再分配に寛容である、というのです。参照されている例としては北欧諸国がそうなのですが、高税率・高福…

いずこも同じ?

8月13日号のSchumpeterは、ビジネスを文化の中核に置くことでこれまでリーダーとしてやってきたと自他ともに認めるアメリカにおいて、政治がどうもビジネスのほうを向かなくなっていること、オバマ大統領の政策も茶会党の考え方も、いずれもビジネス界の環境…

システムの問題?

8月13日号のLexingtonは、アメリカとイギリスの政治システムの違いに注目し、アメリカの政治が直面する行き詰まりについて興味深い示唆を行っています。曰く、イギリスはアメリカに比べて与野党が話し合える機会が多く、政治的行き詰まりについて打開策を講…

国際支援の新しい姿

ネットでは8月13日号が流れています。例によってLeadersのラインナップをざっと見てみると、イギリスの暴動、世界経済の危機的状況、アメリカの格下げ、バングラデシュの選挙と与党による汚職そして野党いじめ、国際支援の新しい姿、となっています。前半の3…

尻尾が犬を振る

8月6日号のEconomic focusには、明らかに逆転現象が進行している「先進国」と「新興国」の経済についての分析記事が載っています。この場合の先進国は、新メンバーの加入が続くOECDの、発足当時の国々を対象と考え、伝統的な意味合いを持たせた分析になって…