新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

1968年の影

1月5日号を読み進めています。アメリカ大統領選挙についてLexingtonが伝えるところによると、ニューズウィーク誌などの記事により、1968年が現代アメリカ史にとってキーポイントになる年として注目されているのだとか。確かに出来事としてはキング牧師暗殺、ロバートケネディ司法長官暗殺等があった年で、ベトナム戦争を巡り民主党が左傾を強め、大統領選挙に向けて共和党が「サイレントマジョリティの党」として、ニクソン・ウォレス両候補による指名争いを演じていた頃、となります。以後政治的に民主・共和両党はこのときのパラダイムを所与として政治的な議論を続けているところがあり、民主党はイラク問題をベトナムになぞらえて、共和党は民主党をヒッピーになぞらえて、お互いを批判するという「定石」を今に至るまで打ち続けているあたりにもそれが伺えます。

事実今回の大統領候補選びも、その主な顔ぶれを見るとどうしても1968年の影を引きずっているとしか見えない古手が多いです。ベトナム戦争で捕虜だったマケイン氏、ロバートケネディの衣鉢を継ぐエドワーズ氏、娘に当時のフォークソングから取った名前をつけたクリントン家。で、新機軸を打ち出すとすればオバマ氏しかいないんじゃないの、という結論に落ちるわけです。表面的にはLexingtonの論調はもう少し慎重で、最も大きな変革をもたらすのはオバマ候補だろうけれど、仮にクリントン候補が当選したとしても、40年間で大きく変化したアメリカをリードするために1968年の影と異なるテンプレートが要求されるだろう、となっています。ここでいうテンプレート、を日本語に翻訳するのは少し難しいですが、言ってみれば「55年体制」と言う場合の「体制」にあたるものかと思われます。これよりやや概念的に聞こえる気もしますけど。