新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

カミカゼ政治

3月22日号、地域記事の前のBriefingはチベット現地からのレポートが4ページほど。暴動の現場からの報告や直接の原因に関するさまざまな情報、そして今後についての予測等は日本のメディアがカバーしたことと大差ありません、残念ながら。その代わり、さすがThe Economistだなあと思った「情報の仕込み」がありまして、それはローレンス・ブラーム氏というアメリカ人によるダライラマチベット亡命政権と北京の中国政府との間の都合六回にわたる対話努力についての話です。直接的な表現ではないにせよ、対話の失敗が今回の暴動の遠因のひとつではないかと読ませる展開に加え、短期的な対話の再開が難しいこと、今回の暴動によりチベット経済の屋台骨たる観光産業が打撃を受けること、そして経済の停滞は状況をさらに悪化させる可能性があること、を結語としています。

代わってAsiaのトップは日本についての、意外と長めのコラムです。「カミカゼ政治」とのタイトルで、大連立の失敗から日銀総裁空席に至るまでの混迷を再総括し、最後に小泉元首相の活動再開について触れています。この場合のカミカゼとは、福田総理の政権運営を自殺行為に近いと皮肉ったものなのか、あるいはコイズミという神風の登場を期待したものなのか、意味深です。