新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

財政・金融政策のあり方について

9月12日号です。

まずLeadersですが、公的資金により救済された金融機関の「乳離れ」と、求められる公正な規制について、ユドヨノ大統領の下で安定してきたインドネシアの「復活」について、メディアが危ないと煽るばかりのオバマ大統領による新健康保険に対する意外と良い評価について、逆にはらはらさせられるばかりのアフガニスタンの総選挙について、財政・金融政策のあり方について、そしてイランの核武装への取り組みと、鍵を握る中国とロシアの対応について、となっています。

金融政策については、なんとなくそんなふうに感じていましたが、どうも先進国・中央銀行の役割を「インフレターゲットを用いた金融政策のコントロール」と捉えることが政策的な進化だと整理しているみたいですね、The Economistは。そうだとすると日本の「失われた10年」はデータでこそあれ学ぶべき手本ではなく、雇用を伴わない景気回復という歪な現象が起きている現在の姿もある程度納得できます。雇用はやがてついてくる、とでも考えていそうな気配ですが、そうだとすると行き着く先は「金融本位制」のような、実体経済が良かろうがそうでなかろうが機能する、独立したシステム的な絵姿になるのかもしれません(無論、The Ecomoistはまだそんなことを言っているわけではありませんが)。

で、The Economistのご心配は、金融行政に比べて政策的ツールがどうしても信頼性の面で弱いとされる財政政策についての不安ということになるわけです。確かに、財政政策が果たしてどれだけの効果を上げるものなのか、科学的にモニタリングする方法があれば随分と政治も助かるでしょう。日本でも、たとえば下野した自民党が、そのツールを使って民主党の経済運営を評価してやる、といった対応が可能になるわけですね。過去半世紀にわたる政策の蓄積を以ってすれば、意外と自民党ならできてしまうかもしれません(が、肝心のデータを官僚に握られているとすると、それすらもおぼつかないかもしれませんが)。

というわけで、今週号はちょっと興味を惹かれる記事が多そうな気配です。
全く別の側面で気になったのはLettersのページのトップに、犯人の釈放によって半ば終止符が打たれそうなパンナム機爆破事件の真相究明を求める遺族からの長い手紙が載っていたことでした。日本でもよく「真実を知りたい」という遺族の声をメディアで耳にすることがありますが、洋の東西を問わず被害者の思いには相通ずるものがあることを改めて感じました。


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