新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

地球温暖化問題の今後

10月17日号のInternationalには、12月にコペンハーゲンで予定されている温暖化サミットの前哨戦となった実務者会合の成り行きに関する、なかなか厳しい状況を伝える記事が載っています。アメリカと中国の参加をどのようにして実現するのか、さらにそれ以上に頑強なインドをどのように説得するのか、12月まで期限が迫る中、落としどころがまるで見えていない状況は「12月の会議は来年に続く議論の場を形成するにすぎないだろう」としたThe Economistの予想を裏付けるかのようなものとなっています。

多国間貿易のようにある程度の期間を取って調整を続けると言うやり方もあるのかもしれませんが、対象が地球環境問題だけに、たとえばウルグアイラウンドのようにいつまでたっても全体の結論が見えないままというのも困りものです。また、オゾン層破壊物質の削減で効果を上げた国連主導の対応についても、炭素や酸素に安価な代替物質なんか存在しない問題だけに、とても話を国連に振るわけにはゆかない状態です。

鳩山首相の対90年比25%削減、の掛け声は立派なのですが、仮にこれを実現するとした場合には、たとえば日本に高炉による製鉄所がなくなるかもしれない、という話があります。あるいはセメントを建設資材として使えなくなるかもしれないとも。火力発電所は原子力発電に置き換えれば、との議論もありますが、特に地震国である日本では別の大きなリスクを抱えることになりますね。ちなみに風力や太陽光では規模的にとても火力発電所を代替するまでには至らないそうです。

どこに解決の糸口があるのか、あるいはThe Economistが言うように問題の実質的先送りをせざるを得ないのか、ここしばらくは温暖化問題から目が話せない日々が続きそうです。