新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

新興国のイノベーションとは

4月17日号の特集記事を通読しました。

結局のところ、新興国にとってのイノベーションを語る上でThe Economistが唱えたのが、シャンプーの小分け販売に代表される「つつましいイノベーション」であるとか、顧客に製品を使ってもらい、その使い勝手を観察・分析するであるとか、新興国のメーカーが取り組んでいる懸命な努力をとらまえての議論に過ぎないことが判りました。

常々思うのですが、The Economistの相対的な強み・弱みのうち、やはり製造業に関する分析や知見の浅さは、特に日本人の目からするとどうしても「弱み」に見えてしまいます。その議論でThe Economistほどの雑誌が世界の読者をリードしてゆけるところに、逆に言えば日本の強みが炙り出されるとも言えるのかも知れませんね。

私個人的には、究極のイノベーションの源泉はイマジネーションではないかと思っています。ドラッカーの7つの機会や、シュンペーターの唱えるイノベーションの形態(財貨、生産方法、販売、仕入、組織の5つの新しい要素)はあくまでも説明的なアプローチであり、それを聞いて理解したからと言ってイノベーションがなしうるものではありません。その意味で、新興国の人たちだって夢やあこがれはあるわけで、記事によるとインドでは、就寝前に感じる明日の成功が「単なる夢や希望ではなくステロイドを打たれたくらいの」強烈な刺激なのに、翌朝起きたら現実に直面してしぼんだりするとのことですが、ステロイドを打たれるに匹敵する強い動機を持つ人の中には、数は少ないかもしれませんが、翌朝目覚めても諦めない人だっているはずです。やがてそれらの人々が成し遂げるであろう確かな変化をもって歴史はイノベーションと評価するのではないかと、そんなふうに思います。